私の希望ばっかで悪いなと思ってコロリさんが選んだ映画「ミスト」もDVDで一緒に見たよ!

 まあコロリさんにも言ったけどこれを最後にしたのはどう考えても失敗だった。なんという重苦しさ。まあコロリさんらしいといえば、らしいかも知れない。ホラーなのかパニックなのかサスペンスなのか宗教映画なのかその全部なのか。オチに宗教的な意味を持たせているように見えるところが、というか、登場人物の行動に対する評価を作者が一方的に下している感が私にはフユカイというか、純正な娯楽映画ではないなと思う。コロリさんはこれを最後にしたのはそれはそれでよかったと言ってるけど。デスプルーフへの与えてくれるなんとも言えないアンビバレントな感情よりは、割り切りやすかったのかも知れない。


 サスペンス要素というか、群像悲劇というか、多数の登場人物がそれぞれよかれと思って会話し、決断し、行動することがどのように裏切られるかがこの作品の主要なテーマであり、ホラーの意地悪さも感じる。そう、結局ひどい目にしか遭わないのだけど、それが「殺人鬼と一緒に寝られるか! 俺は自分の部屋に戻るぞ!」的な理性の失われた判断ではなく、その人その人にとっては妥当で理性的で、きちんと思考しているのにひどい目に遭うところになんとも言えない悪意(よく知らないけど神様の悪意のことを裁きって言うんでしたよね?)を感じる。そう、B級ホラー/サスペンスに出てくる脇役が馬鹿ばっかりなのは、彼らが死んだときの罪悪感を和らげるためだったのだと私は気付く。まあ、あの行動は馬鹿だったし、しょうがないよね、的な。まあ、あそこでアイツが出てくるのは予想外だったしさ、的な。


 しかし本作の登場人物たちには私たち観客が彼らを諦めるための必要以上の愚鈍さはなく、ただ与えられた状況への現実的な対処だけがある。そこでのディスコミュニケーション、仲間割れ、宗教的言辞への巻き込まれ方がそれぞれ実にリアルで、どうしようもない暗澹とした気分になる。もうこれだけでいいじゃんってくらいに完成されている。うん、素晴らしいですよもちろん。


 ただまあ気に入らんのはクリーチャーの造形がもうちょっと統一された雰囲気でもよかったんじゃないでしょうか、というあたり。ラストシーンもなあ。もうスゲー嫌なんですけどとにかく嫌すぎるんですけどって妹も言ってました。私も同感です、という感想を抱かせたということは、もうこの作品の勝ちなんだろう。まあ、そんな感じ。
ミスト [DVD]